本書は九州大学韓国研究センターが平成13年度(2001年度)の事業の一環として間接経費(全学的な共通経費)により実施した、1911年(九州帝国大学創立)から1965年(日韓国交正常化)までの時期における九州大学在籍の韓国・朝鮮人学生(朝鮮半島から九州大学への留学生)に関する第一次調査の報告書です。九州大学は、2010年に創立100周年を迎えます(前身の京都帝国大学福岡医科大学は1903年に開校)。本学は創立期より、アジアに対して学問的な目を向け、多くの留学生・研究者等を受け入れ、アジアにおける中核的な研究拠点としての役割を担ってきました。とくに、地理的にも近く、歴史的に関連の深い朝鮮半島地域から多くの学生(留学生)が九州大学に学びました。しかし、その実態については、戦後の断絶もあって、必ずしも明らかではありませんでした。今回の調査は、聞き取り調査・アンケート調査をもとに、朝鮮半島地域からの留学生の足跡をたどり、帰国後の韓国社会における卒業生の活動を明らかにすることを目的としています。
 朝鮮半島からの留学生第1号は、官費留学生として1910年(明治43年)9月に、京都帝国大学福岡医科大学に入学した、金台鎮氏です。1921年までは3名と少なかったものの、1925年以降増加しました。戦前・戦中に九州帝国大学で学んだ韓国・朝鮮人学生(留学生)の卒業者数は162名、戦後から1965年まで九州大学(1951年の学制改革で旧制九州大学は、新制九州大学となった)では、40名、総数は暫定的ですが、258名(卒業202名、中退・入学取消・および学部不明計56名)であることが判明しました。
 調査においては、在韓国九州大学同窓会の辛東韶会長はじめ、多くの同窓会の方々のご協力を得ることができました。同窓会皆様の志の高さと母校への熱い思いが、この調査を一気に進展させたといっても過言ではありません。この第一次報告をきっかけとして、さらにさらに充実した調査を進めてまいります。
 報告書の刊行はさまざまな分野で反響を呼び起こしていますが、とくに本学の名誉教授の先生方からご在職中の留学生に関する情報や思い出をお寄せいただきました。現在、本センターは、改訂版の編集とともに、1965年以降の調査に取り組んでいます。今後とも宜しくお願い申し上げます。
目 次
はじめに 九州大学韓国研究センター長 石川 捷治

1. 調査の概要 石川 捷治
1. 調査の対象と方法について
2. 当時の学生生活について
3. 九州大学卒業生の韓国社会における活躍
4. その他
旧帝国大学におけるアジア人留学生像
 ―九州帝国大学初期朝鮮人留学生の追跡調査をもとに― 高 仁淑

2.インタビュー
3月 2日(崔 虎鎮・金 鍾台・柳 駿・尹 塘・辛 東韶の各氏)
3月16日(沈 鍾變・安 守漢・辛 東韶・鄭 東孝の各氏)
3月17日(崔 虎鎮氏)
在韓国九州大学同窓会を訪ねて 黒木 彬文

2.資 料
各学部学科の同窓会誌・機関誌等からの資料
祖国の諸先輩の足跡を追って 金 鉉喜
先輩の足跡を追って 田上 美弥子

2. 名 簿
1. 卒業年度順
2. 学部別
今回の調査に関わって 伊地知 敬子

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九州大学韓国研究センター
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