■研究代表者

伝統的な茅ぶき民家
伝統的な茅ぶき民家
土塀を残す茅ぶき民家
土塀を残す茅ぶき民家
瓦屋根とサッシで改築された民家
瓦屋根とサッシで
改築された民家
九州大学大学院人間環境学研究院 教授 丸山孝一

■研究分担者

九州大学大学院人間環境学研究院 教授 菊地成朋
九州大学大学院人間環境学研究院 助教授 出口敦
九州大学大学院人間環境学研究院 助教授 坂元一光
九州女子大学 非常勤講師 金俊華
韓国全南大学校社会科学大学 教授 張保雄


■研究要旨

報告書
 本研究は、伝統的民家の間取りと構造が韓国儒教の性別、年齢・世代別にどのように配置・利用され、また、それが居住様式の急激な変化のなかでどのような新展開をみせつつあるのかを、文化人類学的、建築学的に明らかにすることを目的とする。韓国人の行動様式は、性と年齢による儒教的規制を受けるところが大きく、その原初的条件付けが家庭における出生以降の居住生活によって形成されているという仮説に関して、慶尚道、全羅道の農村やソウル特別市を中心とする民家の現地調査により、家族周期における居住空間の利用形態を中心に、文化人類学、建築学、地理学等の学際的視点から検討をおこなった。現在、韓国は急激な社会文化的変貌過程にあり、伝統的な居住文化もまた急速に変化しつつあるなかで、きわめて緊急を要する研究としての性格を備えるものであろう。

■研究活動

 本研究の基礎となる現地調査は、韓国慶尚道、全羅道、ソウル特別市を中心に、張保雄教授や両国の大学院生等の協力を得て国際的かつ学際的におこなわれた。調査に先立って、2000年3月に韓国全南大学校社会科学大学の張保雄教授を招聘し、九州大学韓国研究センターで講演を頂いた。これにより韓国伝統民家の構造や地理的分布について、日韓の研究者の間で共通の知見を深めることができた。
 同年8月には、丸山孝一、菊地成朋、坂元一光を中心とする調査チームが、張保雄教授の案内で智異山周辺村落において伝統構造を残した民家を訪れ、民家構造の採図や家族周期に関する住民へのインタヴューをおこなった。そこでは伝統民家の構造と家族周期がどのように相関し、またそれがどのように変化しているのかについての実証的な確認作業がおこなわれた。
 出口敦は、同年9月、ソウルの近代的な高層高密度住宅地において居住環境に関する居住者の評価に関する調査をおこない、今後、ますます増加すると考えられる高層住宅における市民生活の実態把握と提言がおこなわれた。
両班旧家のサランチェ(全羅南道) マルに座ってのインタビュー 両班旧家のマルと老婆
両班旧家のサランチェ
(全羅南道)
マルに座ってのインタビュー
両班旧家のマルと老婆
■執筆論文

丸山 孝一

「韓国民家の家族周期論的考察−家族関係の時間と空間−」

菊地 成朋
「韓国民家の空間的特質に関する一考察−全羅北道雲峰高原盆地および全羅南道昇州郡楽安面の民家調査から−」

出口 敦
「近代の民家考−韓国近代化の象徴的高層高密度住宅地・新都市ブンタン(盆唐)の評価−」

坂元 一光
「韓国居住空間の再編と家族関係−性・世代原理をめぐって−」

■研究業績


丸山 孝一
1978 「居住空間の社会性−韓国民家の予備調査報告−」『九州人類学会報』第6号
1987 「韓国離島社会における儒教の展開に関する一考察」『九州大学教育学部附属比較教育文化研究施設紀要』38号

菊地 成朋
1987 「日本と韓国の住居の近代化過程の比較考察−住様式の持続と変容−」(共著),新住宅普及会住宅建築研究所
1990 『韓国現代住居学 −マダンとオンドルの住様式−』(共著),建築知識社
1994 『現代日本住居論』(共著),放送大学教育振興会

出口 敦

1999 『新建築学シリーズ10 都市計画』,(共著)朝倉書店
2000
 「公共空間の占用に関する制度と実態 −ソウル市と福岡市の事例−」,『アジア都市研究』,Vol.1,No.1九州大学P&P「アジア都市研究センター」プロジェクト研究体

坂元 一光

1985 「韓国の子どもと祖先」『子ども文化の原像ー文化人類学的視点からー』(共著)、日本放送出版協会
1992 「韓国産育民俗の一側面ー男児選好の背景と変容を中心にー」『比較民俗学研究』第5号

金 俊華
1996
 「在中朝鮮族のエスニック・バウンダリーの動態に関する研究−歴史的体験に関する語りの分析から−」『九州人類学会報』第24号
1998 「在日韓国・朝鮮人のアイデンティティに関する一考察」『トランスカルチュラリズムの研究』(共著)、明石書店

張 保雄
1998 
「雲峰高原盆地地域の茅葺き民家研究」『文化歴史地理』第10号
1992  「中国東北地方朝鮮族の民家研究」『地理学』27巻2号

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