報告書
■研究代表者

松原 孝俊(1998年度)、今西 裕一郎(1999年度)


■研究分担者

中野 三敏(文学部、1998年度のみ)
迫野 虔徳(人文研究院)
安藤 保(人文研究院)
佐伯 弘次(人文研究院)
秦 教勲(ソウル大学校中央図書館長)


■研究要旨

 本研究では、現地での書誌学的調査が不可欠であるために、ソウル大学校中央図書館には2回(1998年9月6日-9月12日:12名、1999年6月11日(金)-1999年6月12日(土):3名)、大韓民国国立中央図書館には1回(1999年7月19日(月)-22日(木)国立国文学研究資料館・九州大学共同調査:8名)、台湾大学中央図書館に1回(1998年3月8日-同年3月10日:4名)、大連図書館には1回(1998年5月28日-6月1日:15名)の、計5回、延べ人数42名によって、調査研究が進展した。
 

■活動紹介

 本研究は、主に次の3点に関して展開した。

まず第1に、
本P&Pの趣旨からしても、教育的観点を加えた調査が期待されていたために、本学に在籍する大学院・学部学生に対して、書誌学・古文書学などの基礎学問への関心を広げ、貴重な文化財保存を推進する人材養成の機会を与えることであった。不幸な日本植民地支配がなされた結果、両国が経なければならなかった幾多の騒乱にもかかわらず、旧京城帝国大学所蔵本はソウル大学校に、また旧台北帝国大学所蔵本が台湾大学に、ほぼ現状通りに保存・管理されてきた事実を知った、本学学生諸君が感動し、賛嘆したことを特筆しておきたい。

第2に、
韓国ソウル大学校中央図書館・台湾大学中央図書館との学術協力を通して、国際交流を活発化することによって、本学の国際協力に応分の貢献を果たすことにもあった。
 これに関しては、本研究プロジェクトが機縁にとなって、九州大学付属図書館・ソウル大学校中央図書館の間に学術交流協定が締結されたことは、意想外の喜びであった。

第3に、
本研究の眼目である、韓国及び中国に残された日本語古典籍に対する書誌学的調査の実施と、その目録作成、およびデータベース化を実現できつつあることだ。 その結果、判明した事実は、報告書に記載した通り、ソウル大学校中央図書館には、「合巻コレクション……全761点、普通本…全2040点」の総計2801点の日本語古典籍が所蔵されていることである。

 なお台湾大学に関しては、未だ予備調査の段階に過ぎないが、約3万5冊の貴重な日本語古典籍が架蔵されていると予想している。

■研究実績
松原孝俊
『釜山市民図書館古書目録』釜山広域市立図書館、1995年

松原孝俊ほか
「座談会:ソウル大学所蔵合巻を中心に−−調査の成果から」『国文学』2001年6月号、6-27頁

松原孝俊編
『台湾・朝鮮・満州に設立された日本植民地期各種図書館所蔵日本語古典籍の書誌的研究』(平成12年度科学研究費補助金・中間報告書)

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