済州邑城址 三別抄が築いた缸坡頭土城址
■研究代表者及び分担者

六反田 豊(文学部・助教授)
濱田 耕策(文学部・教授)
安藤 保(文学部・教授)
佐伯 弘次(文学部・助教授)
林 鐘寛(韓国海洋水産開発院・責任研究員)
全 燦栄(韓国海洋水産開発院・責任研究員)


■研究要旨

報告書
 本研究プロジェクトでは、9〜19世紀における前近代韓国史を「海」の視点から捉えなおすことをめざした。具体的には、(1)当該時期における韓国の対日・対中海上交易・交通について、そのルートや形態、目的、手段、背景、交易品、船団の構成、航海技術といった多角的な検討を加えること、(2)船商や漁業など、朝鮮半島沿岸海域における韓国人の海上活動全般について、その実体解明を試みること、の2点を大きな課題とし、その解明を通じて、前近代韓国史と「海」との関わりを多角的に考察することに主眼をおいた。
 報告書では、研究プロジェクト参加者が上記の課題を踏まえて個々に取り組んだテーマの論文および資料集成等を収録した。さらに、韓国側から本研究プロジェクトに協力していただいた韓国海洋水産開発院責任研究員の林鐘寛氏と金燦栄氏のうち、林鐘寛氏の研究成果についても、日本語に翻訳のうえ報告書に掲載した。


■活動紹介

抗蒙遺跡地に立つ「抗蒙殉義碑」
抗蒙遺跡地の資料館内部
 研究プロジェクトの進行は、原則として参加者それぞれが各自の分担テーマについての研究を進める形をとり、適宜、参加者全員で、あるいは相互に打ち合わせや意見交換を行った。
 このほか、特記すべき活動としては以下の2点がある。

 参加者のうち、濱田は、1999年8月に訪韓し、韓国側から協力していただいた林鐘寛・全燦栄氏と打ち合わせ・意見交換を行った。

 六反田・安藤・佐伯の3人は、2000年3月に韓国・済州島に出張し、済州大学校中央図書館および済州道立自然史博物館等において同島をめぐる前近代海上交通・交易史の研究情報収集および史料調査を実施した。 同時に、抗蒙遺跡地をはじめとする関連史跡の踏査も行った。

■執筆論文

六反田 豊
『済州啓録』所収状啓による19世紀済州島民の海難・漂流事例年表(稿)
濱田 耕策
新羅末期の海上の覇者―張保皐・王逢規・甄萱・王建の海上活動―
安藤 保
近世の薩摩と朝鮮に関わる二つの文書
佐伯 弘次
室町期博多貿易承認の諸類型
林 鐘寛
張保皐の海上活動の再照明と21世紀海洋思想鼓吹方向


■研究実績

六反田 豊
『朝鮮王朝社会と儒教』(訳書、法政大学出版局、2000年)
「朝鮮成宗代の漕運政策論議」(『史淵』136、137、1999年、2000年)
「十九世紀済州島民の海難と漂流」(『年報朝鮮学』7、1999年)

濱田 耕策
『渤海国興亡史』(吉川弘文館、2000年)
「新羅の下代初期における王権の確立過程とその性格」(『朝鮮学報』175、2000年)
「新羅王権と海上勢力」(『東アジア史における国家と地域』刀水書房、1999年)

↑安藤教授(左)と佐伯助教授(右)
安藤 保
『高千穂と日向街道』(共編著、吉川弘文館、2000年)
「琉球通宝の銭鋳と安田轍蔵」(『九州文化史研究所紀要』42・43、1999年)
「嘉永元年『大久保利通日記』への疑問」(『玉里島津家史料月報』8、1999年)


佐伯 弘次
「対馬宗家文書の中世史料」(『九州文化史研究所紀要』44、2000年)
「石城と冷泉津」(『博多研究会誌』7、1999年)
「室町期の博多商人宗金と東アジア」(『史淵』136、1999年)

林 鐘寛
『21世紀東北アジア地域海運環境変化と共同海運政策推進方案』(海運産業研究院、1997年)
『香港返還が我が国の定期船海運に及ぼす影響と対策の方向』(韓国海洋水産開発院、1997年)


全 燦栄
『港湾計量制度の改善方案』(海運産業研究院、1993年)
『港湾における危険物取り扱い改善方案』(韓国海洋水産開発院、1994年)

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