【報告】韓国研究センター共催・国際学術大会「日韓市民連帯の過去と現在」
九州韓国研究者フォーラムとアジアの平和と歴史研究所が開催する国際学術大会に今年は九州大学韓国研究センターも参加して開催しました。3回目になる今回の国際学術大会は「日韓市民連帯の過去と現在」というテーマで開かれました。
韓国研究センター共催・国際学術大会
「日韓市民連帯の過去と現在」
共催:九州韓国研究者フォーラム・九州大学韓国研究センター・アジアの平和と歴史研究所
日時:2024年9月28日(土) 13:30〜18:00(13:00開場)
場所:博多シティ9階会議室(2)
【プログラム】
総合司会:緒方義広(福岡大学)
逐次通訳提供(通訳:平原奈央子、キム・ジスク)
13:30〜13:50 開会・挨拶
・開会の辞:木村貴(九州韓国研究者フォーラム 副代表)
・歓迎の辞:出水薫(九州大学韓国研究センター センター長)
・共催挨拶:李信澈(イ・シンチョル)(アジアの平和と歴史研究所 所長)
13:50〜15:50 第1部
司会 池直美(アジアの平和と歴史教育研究所・北海道大学)
・発表1 大和裕美子(九州共立大学)
“長生炭鉱水没事故をめぐる市民の実践─追悼碑建立後の10年─”
討論: 吉倫亨(キル・ユニョン)(ハンギョレ)
・発表2 朴星奇(パク・ソンギ)(京畿河南高等学校)
“韓日教科書交流20年の進行と拡張”
討論: 呉獨立(九州大学韓国研究センター)
15:50〜17:50 第2部
司会 木村貴(福岡女子大学)
・発表3 山口祐香(神戸大学)
“70年代市民の〈歴史研究〉と日韓連帯”
討論: 韓恵仁(ハン・ヘイン)(アジアの平和と歴史研究所)
・発表4 李信澈(アジアの平和と歴史研究所)
“韓中日歴史対話20年の成果と課題”
討論: 出水薫(九州大学)
17:50 閉会
第1部では、大和裕美子さん(九州共立大学)の報告「長生炭鉱水没事故をめぐる市民の実践─追悼碑建立後の10年─」と、朴星奇さん(京畿河南高等学校)の報告「韓日教科書交流20年の進行と拡張」が発表されました。いずれの報告も、長年にわたって続けられた市民活動を振り返り、その到達点と限界を明らかにする内容でした。
討論や質疑応答では、大和裕美子さんの報告に対し、市民活動における行政の関わり方・役割について、他自治体の事例を含め、多角的な視点から検討が行われました。朴星奇さんの報告に対しては、歴史認識の多様性を認めつつも、そうなった場合に異なる認識の間隙は埋める必要があるのか、必要があれば、どのようにすれば良いのかなど、議論が展開されました。
第2部では、山口祐香さん(神戸大学)による報告「70年代市民の〈歴史研究〉と日韓連帯」と、李信澈さん(アジアの平和と歴史研究所)による報告「韓中日歴史対話20年の成果と課題」が発表されました。両報告ともに、歴史に関わる日韓市民連帯というテーマに基づき、日本における朝鮮史研究や教科書問題を含めた歴史教育における国家を超えた市民連帯について検討を行いました。
討論および質疑応答では、山口祐香さんの報告に対し、今後注目を集める研究分野であることが確認されるとともに、「朝鮮史」の内実(韓国・北朝鮮・在日朝鮮人、民主運動史と朝鮮史の区分など)について議論が深められました。また、李信澈さんの報告に対しては、国家を超えた活動が各国の市民連帯にどのように影響を与え、今後どのように運動を展開していくべきかについての検討が行われました。特に、これからは、「国民」という枠を超えた「世界市民」としての連帯を基盤とする必要性が論じられました。