【報告】韓国研究センター・九州韓国研究者フォーラム共同研究プロジェクト研究会
去る10月14日(土)に、本センターと九州韓国研究者フォーラムが共同で進めている研究プロジェクト「『ポスト1965年体制』研究」の研究会が開催されました。
本共同研究プロジェクトは、2023年度から本センターが取り組んでいる研究事業「『世界史』の中の韓国:その構造変動に関する総合的研究」の一環として進められております。今回の研究会は、第1部の韓国東国大学日本研究所の研究員・成川彩先生の講演と、第2部の成川先生、出水薫先生(韓国研究センター副センター長)、緒方義広先生(福岡大学准教授)による鼎談という2部構成で行われました。
韓国研究センター・九州韓国研究者フォーラム共同研究プロジェクト
『ポスト1965年体制』研究 共同研究会
日時:10月14日(土)14:30〜17:30
会場:博多駅バスターミナルの貸ホール(第1ホール)
講演者:成川彩 (東国大学日本研究所 研究員)
司会:出水薫(韓国研究センター 副センター長)
共催:韓国研究センター、九州韓国研究者フォーラム
後援:韓国国際交流財団
第1部 講演:成川彩 (東国大学日本研究所 研究員)
「88ソウルオリンピック以降の韓国映画・ドラマの変化」
本公演では、80年代後半以後の韓国の映画やドラマの変化を韓国社会の変化とともに辿ってみる作業が行われました。88年を前後とする韓国の民主化と冷戦の終結といった潮流の中で、韓国の映画やドラマではそれまであまり描かれなかった軍事政権や民主化運動、労働運動などが描かれるようになったことが指摘されました。また。民主化によって映画の検閲が緩和されたことは事実であるものの、事実上検閲がなくなるのは2002年であったことも指摘され、その間の独立映画を通した表現の自由拡張の闘争、憲法裁判所の決定などの一連の流れが紹介されました。それ以外にも、90年代以降の韓国映画産業の変遷と日本大衆文化解放をめぐる背景など、興味深い話が続きました。
第2部 鼎談・質疑応答
成川彩(東国大学日本研究所 研究員)
出水薫(韓国研究センター 副センター長)
緒方義広(福岡大学 人文学部東アジア地域言語学科 准教授)
鼎談の形式で行われた第2部では、第1部の講演の内容に基づきながら、共同研究プロジェクトのテーマと関連する、より幅広い議論が展開されました。日韓の関係や文化交流、そして、歴史的な出来事と社会の変化などについて、具体的な作品をあげながら進めれた第2部では、会場に参加した方々からの質疑も活発に行われ、今回のターマに関する高い関心を実感できる時間でした。
※講演者プロフィール
成川 彩
2006年神戸大学法学部卒業。2008年大阪大学大学院通訳翻訳専修コースを卒業した後、2017年まで朝日新聞記者として活動。韓国の東国大学映画映像学科修士課程を経て2023年同大学日本学科博士課程修了。現在、東国大学日本研究所の研究員。日韓の様々なメディアで執筆活動をしている。著書に『어디에 있든 나는 나답게(どこにいても、私は私らしく)』(2008、생각의 창)、『現地発 韓国映画・ドラマのなぜ?』(2023、筑摩書房)がある。